アイデア満載の教育改革
秋田県の教育改革の取り組みは多彩だ。代表的なものを紹介しよう。
◆ 少人数学習推進事業
まずは、先に少し触れた少人数学習への取り組み。今では、全国どこでも耳にする少人数学習だが、秋田県は他県に先駆けて行った。子どもの個性を活かし、子どもの多様性に応える教育活動を展開することを目的としている。
「少人数学習推進事業」の基本構想は大きく2つ。一つは学級の規模を小さくする「少人数学級」。もう一つは、20人程度の学習集団による「少人数授業」だ。少人数学級は、小学校1、2年生と中学校1年生で実施。「小学生低学年は、学校生活に慣れることと学習習慣を確立するためです。中学校1年生は中一ギャップ≠ニいう言葉があるくらい、新しい環境に適応するのが難しい時期。学級規模を縮小して、環境の変化に対する抵抗を少なくする。学校生活の安定と少人数クラスで学力をつけていきたい」(田仲氏)。それ以外の学年は少人数学級化が難しいので、国語、算数、数学、理科、英語において少人数授業ができるよう加配措置をしている。
◆ 学習状況調査
「少人数学習推進事業」と並行して行っているのが、県独自の学習状況調査(平成14年から実施)だ。これは学習指導要領の定着度や少人数学習の成果や課題の把握、そして学習指導の工夫改善のための情報収集が目的。この結果を各学校で一人ひとりの指導に活かしてもらうため、小学校4年生から中学校2年生までの悉皆調査としている。さらに、全国学力・学習状況調査では、対象科目は国語、算数だが、秋田県では社会、理科、英語も含む。これは学力を総合的に捉えているからにほかならない。
さらなる特徴は採点者が学校の先生方であること。指導者が採点することで児童・生徒の理解度やつまずきやすいところがわかり、翌日から指導に生かすことができるからだ。
◆ 算数・数学学力向上推進事業
平成17年にスタートした事業で、勉強嫌いの引き金ともなりやすい算数、数学の学力を確かなものにするのがねらい。
各学校の授業水準を同等レベルに保つため、義務教育課の推進チームが全県の小・中・高等学校を訪問し、小学校から高校までの12年間を見通した観点から指導を行う。他県から注目を浴びている単元評価問題は、W e b ページを利用して、全県の小1〜中3、高1までが問題にチャレンジできる。問題ごとにさまざまな分析がなされ、教師は一人ひとりの結果に基づいた個別指導ができるというメリットもある。

◆ 教育専門監
教科指導に卓越した力のある先生を教育専門監に認定(現在は16名)。教育専門監は1校だけに限定せず、近隣の小・中学校で指導する。多くの子どもが良質の授業を受けられること、教師も専門のノウハウを身につけられるという相乗効果がある。
そのほかにも大学の先生の専門性を、児童・生徒の指導や学校の運営や研究体制に活かしてもらう「大学出前授業」、科学する心を育む「夢プラン事業」など、ユニークな取り組みも少なくない。 |